離婚に向けての準備
なぜ証拠集めが必要なのか?
相手方より有利な立場で、滞りなく離婚交渉が進められる可能性を高くするために
証拠集めが必要な理由は、大きく分けて二つあります。
- 滞りなく有利に離婚をするため
- 離婚後、取決め事項や条件をきちんと守る・守らせるため
たとえば不貞行為 (配偶者以外の異性と性的関係をもつこと)をしたか否かで争いがあり、慰謝料の額をいくらにするかが決まっていないような場合には、証拠がある・なしで形勢が大きく変わります。不貞行為を裏付ける証拠があれば、話合いの主導権を握ることができますが、証拠がなければ最悪の場合、慰謝料はとれないかもしれません。つまり、証拠を集めるということは、相手方より有利な立場で、滞りなく離婚交渉が進められる可能性が高くなるということなのです。
また、相手方が不貞行為を認め、話合いで慰謝料を支払うことを約束したので、いざ離婚後に請求したところ、「そのような約束はしていない」といわれ、支払ってもらえないような場合も想定しておく必要もあります。実際、「約束したのに相手が慰謝料を払ってくれない。どうしたらよいでしょうか」と私どものところへ相談に訪れる方もいます。このようなトラブルを避けるためには、「支払うことを約束した」証拠を残しておかなければなりません。
証拠集めのチャンスを逃さない
証拠がなければ、裁判所にはわからない
証拠を集めるチャンスはその場かぎりの場合もあります。たとえば、相手方が不倫を認める話をしたとしても、音声は自然に残るわけではありません。後になって「そんな話をしたこともな い」と言葉をひるがえされたり、「不倫なんかしていない」とまでしらばっくれられることも考えられます。その場合、証拠がなければ、裁判所にはわからないことなので、不倫があった事実は認められにくくなります。
こうした事態を避けるために、その場で会話を録音しておくことが重要です。録音以外にも、日記に書いておくことや友人や知人に メールなどを送っておき、それを証拠とする方法もあります。また、メールやLINEの文章は見つけたらすぐ写真などを撮って 保存しておきます。消されてしまったり、どこかに埋没してわからなくなってしまうことがよくあるからです。DVでケガをした場合には、ケガをした直後に、写真を撮ったり、病院で診断書をもらうことをおすすめします。ケガが治ってしまうと証拠がなくなってしまうからです。
夫婦で住んでいた家を出て別居をする場合には、証拠を持ち出すのを忘れないようにしましょう。別居後は、出て行ったほうは簡単には家に入れなくなり、証拠を取り出せなくなるからです。
証拠とは、相手方の有責を証明するものだけではなく、現状の把握ができる書類なども含まれます。収入や共有財産がどれくらいあるのか、ローンはいくら残っているのかなどがわかる書類も立派な証拠となります。
家を出てからこれらの証拠(書類等も含む)を集めるのは大変です。特に書類関係は、家を出る前に必ずコピーや写真を撮っておいてください。そして家を出る際は、それらを忘れずに持ち出します。もちろん、不貞・DVなどがあった場合はその証拠もです。
証拠は、時期やタイミングを逃さずに集め、保存し、忘れずに持っているようにしましょう。もし、別居前に何を持って出るのがよいのかがわからなかったり、証拠の収集などに悩んでしまう場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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